「スカイツリーに行ったことがないことだけが、残りの人生の悔いなの!」
先日のお休み中、1泊2日で家族旅行をしようという話になった。
我が家には、11月から同居している81歳の祖母がいる。
そのため、母も父も「温泉一択」だと思っていた。もちろん私もそうだった。
しかしある日の昼、私は祖母にふと聞いてみた。
「おばあちゃんはどこに行きたい?車椅子に乗ればどこでも行けるよ。どこでも連れてってあげる!」
すると祖母は、最初は少し申し訳なさそうにしながらも、次の瞬間、ぱっと表情を明るくして言った。
「
スカイツリー!」と(笑)
まさかの回答に驚きつつも、「のんびりできる温泉でもいいんだよ?」と一応言ってみたが、
「どこにでも行けるなら、おばあちゃんはスカイツリーに行きたい!!!!」
と全力で答えたのだ。
そんなわけで、祖母と一緒にスカイツリーに登ってきた。
実は加納家全員登るのは初めてだった。
しかし、数日前まで天気予報は雨や曇り。
さらに追い打ちをかけるように、スカイツリーのエレベーターが停止し、営業もストップ。
再開日は未定というニュース。
「今回は難しいかもしれないね」と家族で話していた。
ところが、なんと偶然にもオープン初日に行くことができた。
車椅子での旅行も、祖母にとっては初めてだった。
まだまだ夜は冷え込むうえに、風も強い日が多い時期。体力的な不安もあったはずだ。
それでも、スカイツリーを目の前にした瞬間、祖母は子どものように目を輝かせた。
エレベーターの中でも、展望エリアに着いた瞬間も、
「
わあ…!すごい…!」
と何度も声を上げる。
窓に近づき、身を乗り出すように景色を見つめる。
そして遠くに見えた東京タワーを指差して、
「あれね、30代のときに階段で登ったんだよ」
と、誇らしそうに笑った。
30代の頃の思い出を、今も鮮明に覚えている。
その笑顔は、81歳とは思えないほど若々しかった。
実はその日は、ゆりかもめにも初めて乗った。
窓の外を流れる景色にいちいち感動しながら、
「初めてだらけだねぇ」
「大きなビルだらけだねぇ」
「ゆっくん(東京で働く兄)はこんなところで働いているんだねぇ」
と、嬉しそうに話していた。
81歳になっても、「初めて」を増やしている人が目の前にいる。
私はその姿に、強く心を打たれた。
きっと祖母は、「もう歳だから」と言い訳することもできた。
「車椅子だし大変だからやめておこう」と諦めることもできた。
いや、むしろ私たち家族の方が、どこかで「無理かもしれない」と決めつけていた瞬間があった。
でも祖母は、「行きたい」「連れていってほしい」という気持ちを選んだ。
地上350メートルの景色を見ながら、何度も何度も言った。
「
来てよかった」
「
本当に来てよかったねぇ」
人は、いくつになっても挑戦できる。
そして、挑戦した人にしか見えない景色がある。
それは年齢ではない。
「やる」と決めた人にだけ開かれる景色だ。
新学年が始まる。
新しいクラス。
新しい教科。
新しい人間関係。
初めての塾。
少し不安もあるだろう。
「うまくいくかな」と思うこともあるだろう。
でも、「やってみたい」「こうなりたい」という気持ちがあるなら、どうか自分で自分を止めないでほしい。
動き出すと決めた瞬間から、景色は少しずつ変わり始める。
来年の今、
「こうしておけばよかった」と言うのか。
それとも
「やってよかった!」と笑うのか。
その答えは、今日の自分の選択にある。
新学年。
さあ、自分だけの景色を見にいこう。