僕は愛知県出身ではない。大都会「東京」に生を受け、本来なら標準語を流ちょうに操る大人になっていたはずが、標準語教育を受けることなくその地を離れ、基礎言語として身についたのは「土佐弁」であった。
「日本の夜明けぜよ」
土佐弁といえば上記のセリフに代表される坂本龍馬のイメージ(もしくは南野陽子演じる2代目スケバン刑事)が強いようで、語尾に「ぜよ」をつけることを期待されるが、残念ながら「ぜよ」は古い土佐弁であり、僕は実生活で使ったことも聞いたこともない。
「じゃん・だら・りん」
三河弁を代表する表現だ。生徒たちに聞くと、「りん」は使わないよ、という生徒はちらほらいたものの、3つとも実生活の中でかなりの頻度で使われているようだ。
「すごいだらー。やってみりん。」
「??? は?」
「あれ何て書いちゅうが?」
「??? 何それ?」
大学生時代に友達になった三河弁マスターとの初期段階の会話だ。お互いの不思議で意味不明な方言に対する突っ込み合いをきっかけに、親密度が増したものだった。
進学やクラス替えで、まだ話したこともないクラスメートがいるだろう。中には、人見知りで自分から話すのが苦手な子もいるかもしれない。話すのが好きな子は、積極的に話しかけてみよう。ひょっとすると将来の大親友となる人がすぐ隣にいるかも。そして意外な地域の方言マスターが潜んでいるかもね。