6月30日。午後3時30分。
幸田町さくら会館の駐車場に車を停めた。
照り付ける太陽。
熱を含んだアスファルトを踏みしめ、息苦しい空気の中、両手いっぱいの荷物を持って斜面を登っていく。
駐車場から会館までは、なだらかな斜面が続いている。
会場に入り、準備をする。
自分の立ち位置、子ども達との距離、プリントの場所、チョークの場所、ホワイトボードマーカーの場所…。
授業をするために効率よく、かつ見栄えが良いように、丁寧に並べミリ単位で調整をする。
移動教室の教科は、小5・小6は『算数』、中1・中2は『数学』である。
内容は夢現塾で教えることをそのままやる予定ではあるが、最初で最後の『1回だけの授業』。
時間を考慮して、問題量も問題レベルも最適かつ最良でいきたい。
参加する子達のレベルもやる気も未知数ではあるが、来てくれた子達全員を満足させたい。
何度も授業内容や話を練り直し、何度も何度もプリントを作り直した。
そして『根本理解』と『夢現塾の技』と『家庭での勉強法』を融合させた、納得のいく授業を組み立てた。
移動教室当日、子ども達の反応を見ながら授業をしていった。
最初は問題とにらめっこして下向きだった子ども達の顔も、スラスラ解けるようになって後半からはずいぶん柔らかな表情となっていた。
『本物の塾の授業』を体験してもらえたのではないかと、自負している。
授業が終わり、子ども達が教室を出ていく。
保護者の方がお迎えにやって来る。
「また移動教室をやってくれませんか?」
「次の移動教室はいつぐらいにありますか?」
「夏期講座の申し込みしたいんですけど…。」
など嬉しいお声をいくつか頂いた…。
(※次の移動教室を行うかは未定です)
後片付けをした後、会館の人に声をかけていただいた。
「塾生さん達、たくさん来たねー。」
「いえ。今日の授業には塾生はいないんです。」
「え?今日来た子ども達、塾生さん達じゃないの?」
「はい1人もいないです。塾に来ていない子達の緊張がほぐれにくくなると思って、塾生は参加禁止にしました。」
「へー。」
「広報幸田に載せてもらうこともできなかったので、基本的にホームページか口コミです。」
「それでこんなに集まるのはすごいね~。」
そして今回の移動教室の趣旨など、いろいろと話をすると、
「それはいいねー。また待ってるよ。」
と言っていただき、次回使用する際の助言もいただいた。
(※次の移動教室を行うかは未定です)
“次も移動教室を開いたら、また集まってくれるかな?”
“今度は冬ぐらいにやってみようかな?”
“次の単元はどんなのだったら面白いかな?”
うっすらとした月明かりの中。
余熱含むアスファルトの斜面を重力に身を任せ、若干軽くなった荷物を持ち、てくてくと下りていく。
火照った身体を冷ますには、まだまだ暑い…。
心に灯った情熱と心地よい疲労感に包まれて、みんなが待っている夢現塾に帰って行った…。