以前、マクドナルドのドライブスルーに行った時のことだ。
店員:ご注文をマイクに向かってどうぞー。
目黒:ビッグマックセットでコーラとポテトをそれぞれLサイズにしてください。それと、単品でフィレオフィッシュとチキンナゲットをマスタードソースでお願いします。
店員:承知いたしました。1400円になります。お車を前にどうぞー。
目黒:はーい
車を前に進めて、財布からお金を出そうとすると…
店員:こんなに食べるの、どんな人かと思いましたよ~(笑)
目黒:ん?
店員:目黒先生、お久しぶりです。〇〇です。こんなに食べていたら絶対に痩せませんよ~(笑)
目黒:くそッ!おまえか!今日はたまたまだよ、たまたま。絶対に誰にも言うなよ。
店員:言いませんよ、たぶん~(笑)
目黒:言ったら、マクドナルド本部に名指しでクレームするからな~。
恥ずかしかった。よりによってサイドメニューまでバッチリ頼んでしまった日だった。なんて日だ!
実は、このようなことは日常茶飯事、よーくあることなのだ。
先生、昨日、名古屋の髙島屋のエスカレーターでコケていましたよね?
先生、昨日、新しいハンバーグレストランでメニュー表を真剣に熟読していましたよね?
先生、昨日、サイゼリアでドリアとパスタとサラダ食べていましたよね?
先生、昨日、奥さんと娘さんと3人で映画館にいましたよね?
先生、昨日、とんかつ屋さんにいましたよね?母が見たそうです。
先生、昨日、カーマで電球を探していましたよね?父が見たそうです。
「お前たちは文春かーーーフライデーかーーー!」と言いたくなる(笑)
過去には、東京や大阪はもちろんのこと、タイや香港、グアムでも声をかけられたことがある。
そんな訳で、岡崎イオンには基本的に行かないようにしている。
ここは恐ろしい。岡崎市・幸田町だけでも、夢現塾の教え子が10歳~32歳、その前の塾の教え子が33歳~36歳である。保護者の方々まで含めると、いったい何人に会うかわからない。
正直に言うと、再会の喜びはあるものの私服でいるからかもしれないが、どうも外で会うのは妙に恥ずかしい。照れくさいのだ。会う時には塾で、スーツ姿で会いたいのだ。
数年前、娘の用事で30分だけ岡崎イオンに行った際、20人くらいの教え子や保護者から声をかけられ、恥ずかしかった。ただ、この日は「パパ、すごいね~。有名人だね~。」と娘からの尊敬を得ることだけはできたが(笑)。
で、本題だ。
僕には何年も通っている近所の床屋さんがある。ゴルフ好きのお爺さんが店主で、話も面白い。二度の値上げで、納得できない部分もあるが、「おー、来たねー。元気ですかー?ゴルフ行っていますかー?」という心地よさに負けて、ずっと通っていた。
しかし、近くの大企業で数名のコロナが出たということで、そこのお客さんに、その企業の社員さんが多いのも聞いていたので、念のため行かないようにしていた。早1年が経とうとしている。
最初の半年は、感染予防のためバリカンを購入し、娘に散髪してもらっていたが、どうもバランスが微妙なので、その後は、10分1000円とか、とにかく早くて安い床屋さんに行くようになった。気持ち、なるべく息を止めてカットしてもらっている。
先日、岡崎市からかけ離れたショッピングモールの激安床屋に行った。隣には小学生くらいの男の子、その隣にも小さな男の子が座っていた。他の3席は大人で埋まっていた。遠くの方で、その子供たちの母親らしき人と店員さんの会話が少し聞こえてきた。
母親:中学の時の塾の先生にそっくりなんだけど、違うよなー。いるはずないよなー。
店員:声かけて、聞いてみれば?
母親:こんなところにいるはずないんですよ。でも似ているんですよねー。違うかなー。
店員:ダメもとで聞いてみればいいじゃん!
ドキドキしていた。
まさか俺か?
ここは名古屋にかなり近いところ、塾の先生なんていっぱいいるしな…
ビニールのテルテル坊主みたいな姿の僕の前の鏡に、その母親が近づいてくるのがわかった。
母親:あの、すみません。お仕事って、塾の先生ですか?
目黒:はい…そうです。
母親:目黒先生ですか?
目黒:はい。そうです。
母親:やっぱり!もう驚きました!先生の授業、大好きだったんですよー!なんでこんなところにいるんですか?
床屋が早くて安いから…とは言えなかった(笑)
目黒:妻の買い物のついででねー。
本当は床屋メインで、僕一人で来ていた(笑)
目黒:今、いくつ?
母親:34歳です!岡崎北に進学しました!
目黒:頑張ったね。岡崎南中の子だよね?
母親:そうです!すごい!感動です!子供が明日入学式なので床屋に来たんです!
目黒:そうか、おめでとう!幸せそうだね。よかった。
母親:すみません。邪魔しちゃって。
目黒:いいよ、全然OKだよ。
母親:感激です!失礼します。
その後、僕のカットが始まった。そして、椅子を倒されて、僕が髭剃りをしてもらっているときに、隣の子供たちが終了した。顔面泡だらけで、テルテル坊主姿の僕は、恥ずかしかったが、精一杯大きな声で伝えた。
目黒:元気でなーーー!
母親:先生もお元気でーーー。
すごくすごく嬉しかったが、本当に本当に恥ずかしかった。
「常に上を目指せ!」そう教えていた僕が「髭剃り+カット1500円の激安床屋」にいた。よりによって、なんでこんなところで再会してしまったんだ。見栄っ張りかもしれないが、それがものすごく恥ずかしかった。
なんて日だ!
本当は
「元気でなー」と一緒に言いたいことがあった。
「いつもは4000円の床屋に行っているんだよー(笑)」
学生時代に始めた塾教師も今年で32年目となった。至る所に教え子たちがいる。
これからもいろんな場所で思いもよらぬ再会を果たすのだろう。私服姿の時はどうぞそっとしておいてください…やっぱりそれも淋しい。悩ましいところだ(笑)