新しいことを始める人が多い今の季節。
僕は、新しい登山靴を購入した。山には去年から登っていたが、手持ちの装備で何とか登っていた。しかし、さすがにニューバランスのスニーカーでの登山には限界を感じていたので、今年度が始まるときにコロンビアの登山靴を購入した。
これでの登山はスニーカーとは全く違って登りやすく、これまでよりも100倍楽しかった。
そして、ニュー登山靴のデビュー戦は新城市の鳳来寺山だった。
山の途中にある鳳来寺に寄って、御朱印帳を購入した。ここから御朱印を始めることを決めたので、鳳来寺オリジナルの御朱印帳を選び、気分を高めて頂上を目指した。
ここは、ロープや鎖などがなく、アドベンチャー感を感じることはあまりなかったが、ビューポイントの多さには圧倒された。
鳳来寺山は登山靴、御朱印のデビューを記念する山となった。
そんないろんな思い出いっぱいの山で最も印象に残っているのは、頂上での昼食だ。
いつも一緒に登るメンバーが2人いる。彼らは名古屋から三河にやってくる。その道中にスーパーで、おにぎり2つとカップラーメンを僕の分も買ってきてもらう。この昼食がこの日だけではなく毎回、楽しみにしている。また、このおにぎりとカップラーメンという平凡なごはんが頂上で食べるとなぜかおいしくなるのが不思議で仕方がない。
そして、頂上にたどり着き、昼食の準備を始めた。袋から取り出されたのは3人分のおにぎりとカップラーメン。そして、一人ひとりに手渡された。一人は黄色いカップラーメン。もう一人はクリーム色のカップラーメン。これらは見慣れているしもので、カレー味とシーフード味だろうとすぐにわかる。残ったのは僕のカップラーメンだけだ。
僕の目の前にあるカップラーメンの色は、
「むらさき?!」「紫?!」「purple!?」。
山の中で見る色ではなかった。僕が驚いていると、2人の爆笑する声が聞こえてきた。この二人に買い出しを任せた僕にも責任があるのかと、反省しながらも一番大事なのは味の確認。紫色のカップラーメンなんか見たこともなかったため、味の想像が全くできなかった。よ~く見てみると、そこに書かれていたのは、
「トムヤムクン」。
「トムヤムクン」確かにおいしい料理ではあるだろうが、山を登って疲れ切った状態で、しかも山頂で食べるものではないだろう。
正直、食べたくない気持ちしかなかったが、下山するためにもしっかりと食べないといけなかった。
仕方なく、そして、恐る恐る口にしてみた。
紫色のカップラーメンを見た衝撃を超えてしまった。
予想をはるかに超えるおいしさだった。
しかし、疑問が一つ浮かび上がった。頂上だからおいしかったのか? それともトムヤムクンのカップラーメンがそもそもおいしかったのか?
これを確かめるべく、数日後、家で食べてみた。確かにおいしい味ではあったが、また食べてみたいと思うほどではなかった。そして、頂上ほどのおいしさはなかった。
結論、山頂で食べるものは基本どんなものでもおいしく感じるということだ。
ほどほどのおいしさでも、達成感があればなんでも最高だと改めて感じた登山であった。
しかし、山頂でのカップラーメンにトリッキーな味はこれで勘弁だ。(笑)