今回の社員旅行の拠点は明洞という街。
ソウルでも屈指の繁華街だそうで、コスメショップやファッションブランドのお店がひしめく通りがある一方、屋台からの湯気と香りが絶え間なく漂ってくる通りもある。
今と昔、それが同居している街が明洞だ。
そして滞在中だけでも、毎晩のように工事車両が行き来し、あちこちで内装工事が行われていた。
調べてみると、明洞は1日の人出が150万人とも200万人とも言われる韓国屈指の一等地なのだそうだ。
家賃が高いので、売上が落ちればすぐに生き残れなくなり、どんどん店が入れ替わっていくらしい。(汗)
日本の感覚だと、商店街の顔ぶれは数年単位でしか変わらないが、明洞では数ヶ月単位で表情を変えるのだという。
行くたびに違う店が並んでいるというのも、納得の回転率だ。
常に「今」が更新され続けている街なのだと、身をもって感じた。
二日目の朝、僕は朝7時から朝食を求めて明洞の町を歩いていた。(笑)
しばらくすると、安田先生から「朝ごはん、食べました?」とLINEが。
ホテル前で合流して一緒に探すことになった。
安田先生がネットで調べてくれたお粥の店にしようと決定、明洞の駅からそれほど遠くないらしい。
でも、なかなか見つからない。
安田先生は、どんどん現地の人に話しかけていく。さすがだ。
結局慣れない韓国の住所をマップアプリに入力して、さまようこと20分、滞在していたホテルの2軒隣だった。(汗)
土地勘がないというのはこういうことだろう。(笑)
歩き疲れた僕たちはまさにベスコン状態だった。
注文したのはアワビ粥。
「チョンボクチュク」と呼ばれるこの一品は、朝鮮時代には王様への献上品にもなったという由緒ある滋養食なのだそうだ。
日本人である僕たちの味覚にもぴったり合う、美味しい味付けに大満足。
そしてその店で出会った新しい発見が、「水菊茶(スグク茶)」。アジサイ科の葉から作るお茶らしい。
飲んだ瞬間はただのお茶なのに、口に残る後味がじんわりと甘い。
その状態で水を飲むと、まるでジュースを飲んだかのような不思議な感覚になる。
調べてみると、これはフィロズルチンという、砂糖の1000倍もの甘みを持つ成分によるものらしい。(驚)
口の中に長く残る性質があるため、後から飲む水の感じ方まで変えてしまうのだという。
ミラクルフルーツなどにも通じる、舌の感覚のトリックを実際に体験できたのは貴重な出来事だった。
面白さのあまり、お土産として買って帰ることにした。
社会科の教師としては、こういう小さな発見の積み重ねが面白い。
お茶ひとつにも、その土地の歴史や気候、暮らしが染み込んでいる。
君たちが地理や歴史を学んでいくことは、こういった実体験に感動を添える。
さらに知らない事や物に出会ったとき、その場で調べてみる。
その積み重ねが、旅先でも教室でも、世界の見え方を少しずつ変えていくのだと思う。
そんな楽しい旅の締めくくりに、事件は最終日、集合時間の30分前に起きた。
明洞に数多く店を構えるコスメショップ、オリーブヤング(通称オリヤン)でトイレを借りようとした際、階段で豪快にコケたのだ。
目の前がスローモーションになったかと思うと、直後に顔面に激痛が走った。
階段の角に顔面を強打したのである。
幸い歯が折れることも、目や頭を強く打つこともなく、大きな怪我にはつながらなかったのは不幸中の幸いだったが、僕の顔には映画「ジョーカー」のように口元から頬にかけて一直線の傷ができたのだった。(涙)
今でもその瞬間、僕の後ろにいた女性たちの驚きともため息ともつかない声「Oh!」が耳に残っている。(汗)
首タオルのラウンジ写真が微妙な表情なのはそのせいかもしれない。
グルメと発見に満ちた楽しい旅の最後に、まさかの転倒というオチがついたことで、忘れられない社員旅行になった。
オリヤンの階段には気をつけろ!
君たちが将来韓国を訪れる機会があれば、ぜひ思い出してほしい。