4月は新生活、新学年の始まり。新たな出会いの季節だ。
誰と同じクラスになるのかのドキドキがあったに違いない。名簿を見て、親友と同じクラスでガッツポーズ、違うクラスになってガッガリという悲喜こもごもの情景が目に浮かぶ。
さて、名簿に書かれている名字の中に、難読のものや珍しいものはあっただろうか。職業柄多くの名字と触れる機会があるのだが、珍しい名字を見ると由来や人数をついつい調べてしまう。他人の名字が気になりだしたのは、小学生のときの少年野球チームに「検見崎(けんみさき)」という後輩が入ってきたことがきっかけだ。
今は名字検索サイトという非常に便利なものがあり、簡単に調べることができるのがうれしい。日本の名字の8割は地形(地名)由来で、山、川、池、田、畑、木、林、森などの地形に、前、中、上、下、大、小、高など、その位置関係や大きさなどの形容詞を組み合わせるのが多い。山崎や川崎の「崎」はとがった場所の先端を指す漢字だ。つまり、名字や岡崎市の「岡崎」は、平野に張り出した丘陵地(岡)の先端ということだ。
自分の名字「渡辺」は、全国で6番目に多い苗字で、「船の渡し場の周辺」というやはり地形由来だそう。全国1位は「佐藤」で183万人もいる。佐藤や加藤など「藤」がつく名字は、歴史でも有名な藤原氏がルーツなのだが、佐藤が突出して多い理由として面白い説がある。
明治時代に出された「平民苗字許可令」は、すべての国民が名字を名乗ることを許された法令なのだが、政府が一例として挙げた名字の中に「鈴木」や「佐藤」があり、多くの人がそれを名乗り始めたという。(鈴木は全国2位)。この法令後も名字を名乗らない人が多かったため、明治政府は「平民名字必称義務令」を公布し、強制的に名字を名乗らせた。この時に一気に名字の種類が増え、多くの難読名字、珍苗字が誕生したらしい。
名字や地名を調べるだけでも新たな発見がある。ここから漢字に興味を持ち、語彙力がつき、国語が得意になるという理想的な流れになる可能性もある。検見崎君との出会いのように何がきっかけになるかは分からない。新たな出会いが多い4月には多くのきっかけが潜んでいそうだ。