学生時代からの学習塾教師生活も、今年で28年目となった。ここ10年くらい特に思うことは、子供たちがすぐに泣いてしまうということだ。漢字や英語の小テストの点数のことで、少し叱ると、ワンワンと泣きだす。そして、止まらなくなるのだ。僕のようなおっさん教師にあまり叱られた経験がないのだろう。小5生ならまだしも、たまに、中3生の男子でも、そう感じることがある。驚くぐらいに泣くのだ。「おいっ!もう、泣くな!」と、さらに叱ったことも数知れない。なんか心配になってしまう。
僕も小さいころから、よーく叱られてきたけれど、心の中にずっと思っていたことがある。
「泣いたらカッコ悪い」という思いだ。単なるカッコつけである。仲間も見ているし、大好きな女の子も見ている。泣いてしまったら、恥ずかしい思いをするという感覚が妙に強かった。これは僕だけではないだろう。年齢が近い方々は、同じような思いをしてきたと思う。周りにワンワン泣く子もいないわけではなかったが、皆が本気では付き合ってくれなくなるんだ。あの子はすぐに泣いちゃうから…と。
お互いが、もう少し我慢して過ごしてきたことが多かったと思う。そういう意味では、今の子供たちは少々気の毒な気がする。とにかく、あまり叱られてきていない。体罰がどうのこうのというような理由で、叩かれても、殴られてもいない。提出物を出さなくても、口頭注意。イタズラしても、口頭注意。喧嘩しても、口頭注意。けっこうな悪さをしても、口頭注意。
さらには、先生が、理由をいろいろと説明してくれる。そんなこと、本当は子供たちもわかっているんだが。先生も優しく、先輩との上下関係もほとんどなく、下手すると、親子関係も厳しくない場合がある。だから、泣く。ワンワン泣く。泣けば許されると思うのか、叱られてかわいそうな自分を守る防衛手段なのか…。このままだと、社会に出てもワンワン泣くのかな?周りが、ヨシヨシと言ってくれるのを待っているのかな?心配で仕方がない。
逆に、叱られ慣れている子もいる。叱ると、妙に反省した顔をする。「申し訳ありません。次は絶対に頑張ります!」元気よく、申し訳なさもアピールできる。翌週は大丈夫だが、またその翌週には同じことを繰り返す。決して良いことではないが、こっちの方がなんだか安心してしまう(笑)子供たちには、いろいろなことを経験して、強く強くなってほしい。
人としてやってはいけないこと、怠けていることには、ちゃんと叱れる教師でありたい。
僕の小さかった頃の人気CMがある。お父さん、お母さん世代の方は覚えていらっしゃるのではないか。
「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい。丸大ボンレスハム。」
素晴らしいCMだと、今も心に残っている。
追伸
「ママの手は、魔法の手~。何でもできちゃう不思議な手~。どうして上手にできるのかな?ママ、ママ、 ママの手は、魔法の手~。」のCMも良かったな。何か幸せな気分になるものだった。