「来世は犬になりたい。その夢を叶えるために、いま徳を積んでおかないと」
そんなセリフを、私の友人はもう耳にタコができるほど聞いただろう。
はじめは心を病んでいないか心配されていたが、次第に呆れられるようになった。
幼い頃から犬と触れ合って生きてきて、ここ数年、愛おしいという気持ちに加え、寝て食べて走り回って、そんな犬としての生活に憧れをもつようになった。
我ながらどうにかしている。
それくらい犬が好きな私だが、最近は我が家の愛犬に触れるのを一瞬ためらってしまう。
理由は、花粉である。学生時代、箱ティッシュを持ち歩いていたくらい、花粉症には毎年悩まされている。
しかし、外に散歩へ行っては、草むらに頭を突っ込んで家に帰ってくる犬は、もはや花粉の塊のような状態だ。本当なら、わしゃわしゃと撫でまわして愛でたいところだが、撫でるほど犬から花粉が舞い、私は目の痒さと鼻水と戦うことになる。
我が身を顧みず犬に近づくか、後々の辛さを考えて距離を置くか。最近、そんな葛藤を繰り返している。
しかし、犬というのはまた純粋な生き物で、毎日毎日、私が目を覚ませば尻尾を振って喜び、帰宅すると高い声を出して近寄ってくる。そんなわけで、葛藤はするものの、結局毎日鼻にティッシュを突っ込んだまま犬を撫でまわすのである。犬の可愛さには勝てない。
もし来世、私が犬になって誰かに飼ってもらうことになったら、どれだけ花粉症が辛くても可愛いと言って撫でてもらえたらな、というところまで想像が膨らんでいる。
さて、このまま、頭のどこかでおかしいとわかっていながら、本気で犬になりたいと言い続けていいのか、それもまた葛藤がある。
ただ、周りにおかしいと言われても、呆れられても、自分の意志を貫くことは大切なことだと自分に言い聞かせて、今日も徳を積めるよう励む。
人生、周りに何と言われようと自分の意志を曲げてはいけない時がいつかはくるだろう。
私が「犬になりたい」と本気で思っていることを思い出してくれたら、それに比べればどんな目標も素晴らしいものだと思うので、ぜひ自分の意志を貫いてほしい(笑)